ファン垂涎、スティーヴ・キューン、真の幻の一枚が遂に!!復刻されます。 86年3月27日~30日のニューヨーク・ヴィレッジ・ヴァンガードでの録音。このライブといえば、Black Hawk原盤の「Life'sMagic」が知られ、同Sunnysideから昨年再発されましたが、本作は、それより更にお目にかかることがレアであった超幻の一枚。廃盤CDのリストでは、いつも最上級の扱いを受け、市場価格は2万円代から決して下ることがなかった作品。「Life's Magic」の再発時、本「Vanguard Date」の復刻の予定もあるとレーベルに聞いていましたが、遂にそれが実現しました。しかも今回は、原盤Owlのジャケットをそのままに使用してのうれしい復刻です。 メンバーは、もちろん同メンバーでロン・カーターにアル・フォスター。1938年生まれのキューンはその時40歳代。70年代ECMの諸作を発表し、時にはプログレッシヴでさえあった時期を越えて、80年代は、厳選された音数でのスタイルに移り変わってもいましたが、ここには、多彩なキューンの表情があります。 ハービー・ハンコックの名曲''処女航海''のコードを下敷きにしたボサ・ナンバーでスタートしつつ、2曲目はタッド・ダメロンのバップ・チューン。アル・フォスターの美しいシンバル・ワークと間が、演奏にスパイスを効かせるスウィンギー・ナンバー。かと思うと、ロン・カーターによるスロー・ワルツ(M-3)もあり、シーラ・ジョーダンとの共演録音以来、キューン自身の作曲家としての評価も高めるきっかけとなったM-4のようなナンバーも演奏。 そして、秀逸なのは、M-5~6の展開。''ラウンド・ミッドナイト''のメロディと''I thought about You''を渾然一体と融合させ、途中My One and only Loveのメロディなども織り交ぜるバラード演奏(M-5)はリリシズムの極み。一方、M-6では、70年代の演奏を彷彿とさせるパッション溢れる演奏に!レガートの美しいタッチはそのままに、何か起こりそうな予感に満ちた4ビート・ソロから3分30秒を越えて、演奏は一気にヒート・アップ。煽りまくるアル・フォスター、ドライブするロン・カーターと火花を散らす凄い演奏に突入するのです。この時期、音数を制限していた感もあるキューンではありますが、ライブならではとも言えましょう。感極まった声あり、最高にテンション高い演奏を聴くことが出来ます。 ラストのバラードもキューンならではの内省的な深みがあります。
収録内容
1. Clotilde (Steve Kuhn) 2. Superjet (Tadd Dameron) 3. Little Waltz (ron carter) 4. The Zoo (Steve Kuhn) 5. I thought about You (Jimmy van Heusen) 6. Music Prayer for Peace (Phil Perry) 7. Dance only with me (Jule Styne) 8. Lullaby (Steve Kuhn)