現代ホラー小説の帝王、スティーヴン・キングの短編小説「トウモロコシ畑の子供たち」を原作とした人気ホラーシリーズ『チルドレン・オブ・ザ・コーン』は『ヘルレイザー』や『ハロウィン』にならぶ最長のホラーシリーズにもかかわらず、第一作目である『チルドレン・オブ・ザ・コーン』(1984)が日本未公開であるというとんでもない事実が発覚。この由々しき事態を解決するべく、製作から40周年を迎えた2024年、満を辞しての4K版で日本劇場初公開となった。すると急にトウモロコシシーズンが到来、どさくさに紛れて続編である第二作目『チルドレン・オブ・ザ・コーン２／最後のいけにえ』も日本初公開、第三作目『チルドレン・オブ・ザ・コーン３／都会の収穫』も調子にのって劇場再公開され、トウモロコシ旋風が吹き荒れた。

『チルドレン・オブ・ザ・コーン』の舞台はネブラスカ州の小さな田舎町ガトリン。一人の少年に突如トウモロコシの神が舞い降り、彼は教祖となった。教祖は手下の子どもたちを率いてカルト化し町中の大人を惨殺、＜後光のさす中、神は私の前にお立ちになった＞と説いた。そんな子どもとトウモロコシしかいなくなったガトリンに、青年医師と恋人のカップルが迷い込む──。未来のあるかわいい子どもたちが、歯止めのきかない狂信的なカルト集団と化すさまは異様きわまりなく、坊ちゃん刈りに黒スーツ姿の子供教祖アイザックは、一度見たら忘れられない強烈なホラー・アイコンとして全米で大人気となった。『ターミネーター』（84）で大ブレイク直前の初々しいリンダ・ハミルトンがトウモロコシに磔にされる。

ガトリンで起きた壮絶な事件後、生き残った子供たちは近隣の街ヘミングフォードで養子として新しい生活を始めていた。ガトリンの子供教祖アイザックは死に、トウモロコシ畑の呪いは終わったと思われていた。NYから事件を取材に来たタブロイド紙の記者ジョン・ギャレットとその息子ダニー。二人は、残された子供たちに不審な影を感じ、トウモロコシ畑に関する謎の存在に気付く。そしてガトリンで知り合った少年マイカはあらたな子供教祖へとのぼりつめる。『チルドレン・オブ・ザ・コーン２／最後のいけにえ』は、第一作目の正調続編といえる作品で、新たな子供教祖マイカとますます凶暴化した子供たちを描き、前作よりもさらに残忍、鬼畜、ユニークかつ派手になった。

ガトリンにある広大なトウモロコシ畑の主である父を惨殺したイーライ。彼は何も知らない兄・ジョシュアと共にシカゴの里親のもとに引き取られる。ジョシュアは次第に周囲と打ち解けていくが、イーライはただ1人でトウモロコシ畑を作り始める。そして、そこに棲む何物かに操られるように、いつしか周囲の子供たちの教祖的存在、子供教祖となっていく。『チルドレン・オブ・ザ・コーン３／都会の収穫』はアイザック、マイカ、そして『オーメン』のダミアンを凌ぐほどの、不気味を煮詰めたような恐ろしさで爆発するイーライの独壇場。『プレデター』(87)を手がけたスクリーミング・マッド・ジョージが特殊効果で参加、シャーリーズ・セロンが映画デビュー。

シリーズを通して子供教祖を導くトウモロコシの神、≪畝の後ろを歩く者≫ は歪んだ豊穣の神を装う悪霊、辺鄙な町ガトリンの子供たちに舞い降り、大人を全員犠牲にする殺人カルトに仕立て上げる。どこから来たのか、いつ現れたのか不明。その邪悪な力の真の性質、名前、様相もすべて不明。トウモロコシ畑を通じて支配力を発揮、夜に最も活動的となる。信者が別の地でカルトを確立すると復活、無邪気な若者を野性的な喜びで誰であれ虐殺する憎しみに満ちた殺人狂に変える。不老不死、テレキネシス、マインドコントロール、超人的な力、火の玉を投げる能力など、悪の力を憑りついた子供教祖に与える。他にも風、雷、昆虫を自在に操り、夢や幻を見せたりする能力を備える。繁栄しているトウモロコシの豊富さで、ネブラスカ州ガトリンを支配することに満足する様子がうかがえる。完全な支配下にある子供を教祖として利用、教祖は20歳になる者をすべて殺害、生贄に捧げる。信者が裏切った場合は、最高年齢は引き下げられる。