彼は地球上で最も致命的な日を生き延びた。宇宙で最高にセクシーな夜を楽しむために。
ビリー・ピルグリムは不思議なことに時間にとらわれなくなった。彼は、ニューヨークでの誕生から遠く離れた惑星での生活を経て、1945年のドレスデン焼夷弾爆撃の恐怖へと、制御不能な時空の旅を続ける。作者本人が体験した第二次世界大戦のドレスデン爆撃の様子を盛り込んだ、1969年発表のカート・ヴォネガットJr.のSF小説の映画化。小説はその内容から保守的な人々によって批判の対象とされ、図書館からの排除を求められるなど物議を醸した。映画の物語はノンリニアな展開で語られ、初公開時には「これまでに作られた映画で最も大胆で独創的で魅力的な作品のひとつだ」と評された。1972年カンヌ映画祭・審査員賞受賞のほか、SFの世界で最も古く、最も権威あるヒューゴー賞、さらにSF作品の権威、サターン賞も受賞。監督は「明日に向って撃て！」(69)、「スティング」(73)、「ガープの世界」(82)など名作、大ヒット作を手掛けた巨匠ジョージ・ロイ・ヒル、さらに音楽をゴルトベルク変奏曲で知られる作曲家グレン・グールドが担当。原作のカート・ヴォネガットJr.は映画について次のように語った。「私は監督のジョージ・ロイ・ヒルと映画を製作したユニバーサル・ピクチャーズが大好きだ。私の小説を完璧なかたちで映画化してくれた。この映画を観るたびに私はよだれを垂らしてクスクス笑う。なぜならそれが私がこの本を書いたときに感じたことと完全に調和しているからだ」