カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた『パリ、テキサス」（84）、監督賞を受賞した『ベルリン・天使の詩』（87）、さらには音楽ドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』（99)をヒットさせ、『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』（11）がアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされるなど、映画史に燦然と輝く傑作を送り出し続けるヴィム・ヴェンダース監督。2020年に長編監督として50周年を迎える彼が、地球の果てまでもとらえる壮大な映像美と、人間の心の涯てまでを描くエモーショナルなストーリーで新たな傑作を完成させた。

メインキャストも今が旬の魅力的な俳優ふたりの共演が実現した。ヒロインの生物学者ダニー役には『リリーのすべて』（15）でアカデミー賞助演女優賞を獲得し、『エクス・マキナ』（15)、『光をくれた人』（16）、『トゥーム・レイダー ファースト・ミッション』（17）など話題作への出演が続くアリシア・ヴィキャンデル。そして彼女の運命の人となるジェームズを『M-MEN』シリーズのプロフェッサーX役で注目され、M・ナイト・シャマラン監督『スプリット』（17）『ミスター・ガラス』（18）のケヴィン役でも怪演をみせる演技派ジェームズ・マカヴォイが務める。

ロマンティックな風景をたたえるノルマンディーの海岸、人類の原風景のようなグリーンランドの深遠な海、砂に包まれた峻厳な南ソマリアなど、世界屈指の名所をロケ地に選びながら、世界の果てと涯てに引き裂かれた男女の過酷な運命を描いた、狂おしくも切ないラブサスペンスが誕生した──。

◇人類の直面している危機と男女の胸をかきむしられるような悲恋がキリキリと絡み合う。この監督しか作れない壮大な作品だ。　─山田洋次（映画監督）